ホームズが住みたい街ランキング2021を発表した。借りて住みたいランキングは
1位:本厚木
2位:大宮
3位:葛西
※3位以降はこちら
となっており、コロナ禍の影響を受けて都市近郊が上位に並ぶ結果となった。また東京都の人口推計も減少が続いており、2021年4月の人口推計は1395万7179人(前年同月2万5443人減)と発表された。
東京都の人口推計
これをみて、あぁこれで東京一極集中が緩和される。ごった返した東京ともおさらば、地方創生バンザイ、そんなことを夢見ることができる。そう思った。
しかし本当にそうなのだろうか。よく考えてみれば、通勤先が変わらないのなら遠くなった分むしろ電車の利用時間増えないか?という疑問が浮かんできた。
東京都のテレワーク導入率は57%だが、あくまでも導入率でアフターコロナでも完全テレワークとなる企業は一体いくらいるのだろうか。未知数だ。また米Amazonはワクチン接種が順調に進むことを受けてオフィス回帰の動きを強めている。
Our plan is to return to an office-centric culture as our baseline.
これらの情勢を考えるとアフターコロナでの最悪のシナリオはこうだ。
・米動向を理由にリモート勤務終了のお知らせ企業増加
・定期券解約による鉄道会社利益率悪化から電車の間引き運転継続
・都市近郊の人口増加で乗車率および通勤100分超えの人口も増加
・電車遅延時の地獄絵図強化
参考(2021年4月30日の地獄)
緊急事態宣言で電車8割運行してて、高田馬場でホームで緊急停止ボタン押されてため、山手線3~5分程度遅延で池袋駅ホームにあるれる人の数 pic.twitter.com/LYPXVTKcdE
— 佳乃 (@1964Sea) April 29, 2021
これは杞憂か確実性の高い現実となるのか。考察してみたいと思う。
住みたい街と電車の関係
これは住みたい街ランキング20位までのプロット図です。都市近郊がたくさん分布しており、人口ドーナッツに拍車がかかりそうな分布だなぁとの印象を受ける。またこれらの街を路線で見てみると、中央線、常磐線、総武線、東西線、小田急線、京浜東北線、埼京線となり、コロナ前から混雑が嘆かれている路線が名前を連ねているのだ。
朝の通勤時間帯がラッシュとなるが、その乗車率で最も多いのが東西線で199%。これはどれくらいの乗車率かというと200%で「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度ならなんとか読める」程度の混み具合だそうだ。
引用:国土交通省三大都市圏における主要区間の平均混雑率・輸送力・輸送人員の推移
コロナ以前からこのような状況だったことに加えて、人口が増加したとなればさらなる混雑は必至だ。給料のベースアップはてんでされないのに、乗車率のベースアップは軽々とされそうだ。
路線のトラブル発生状況
アフターコロナで期待される分散出社や時間ずらしでの出社方法。しかしそれはあくまでも平常時に計画をした通勤時間に沿って出社をすることで恩恵がある方法だ。得てしてそのような計画は本当に通用するのだろうか。
国土交通省はこんな調査結果を公開している。東京圏の鉄道路線の遅延「見える化」(平成30年度)。
これは簡単に言ってしまえば、1ヶ月の平日に焦点を当てた時どれくらいの電車遅延を起こしているかを数値化したものだ。この結果を2021年の住みたい街ランキングの街と照らし合わせて見ていこう。
まずは20日間で小規模の遅延をどれだけ発生させているかだ。この路線で一番多くマークされているのは小田急線で、10分以下の遅延は20日間で13.6日だ。ついで10.9日の東西線となる。しかし注目すべきなのは10分以下だけの値ではない。引用元の資料を見てほしいのだが、遅延区分は「10分以下」「10~30分以下」「30分以上」の3種類で別れている。これならば10分以下と10~30分以下は合算されるべきだと思うのだが、図では小規模遅延といった言葉で濁され10分以下しか載せていない。そこで30分以下の日数を合算してみると、
といった具合になる。ほぼ毎日すべての路線で30分以上の遅延が発生しているのがわかる。これでは計画的に出社を遅らせても混雑緩和の効果は期待できない。
それから大規模遅延について。
埼京線が飛び抜けており、20日間で平均2.3日発生している。2週間に1回は30分以上の遅延を起こしている。その他は似たり寄ったりだが小規模遅延と合わせると、毎日遅延が起きていると言っても体感上問題は無いレベルだ。もし、乗車率が上昇してしまった折に電車遅延に遭遇したら・・・地獄絵図は勢いを増すことは想像に難くない。その上、長時間乗車の人が増えるとなるとそれは本当に大変なことだ。
まとめ
(都市部に比べ)安くて広い部屋を借りられる都市近郊物件が人気となったコロナ禍だが、そのリスクは企業のテレワーク定着率に握られそうだ。もしテレワークが破綻すれば地獄をみることになり、定着すれば最高のワークライフバランスを手にすることができる。住宅選びに新たなギャンブル性が加わってしまったコロナ禍でした。