初見、はっきり言って意味不明でなんぞこの映画。といった印象でしたが、色々考察してみるとこれは深い。というかいろいろと考えることができる映画でした。未だにはっきりしない部分とかも盛りだくさんありますが、それはもう意図的にはっきりさせていないんだろうなと思うことにして、時系列を整理し足りない部分は考察という名の妄想で補うようにしようと思います。

時系列の整理
・2027年
1
堅書直実(2027)は本の虫。新学年が始まり、そこで一行瑠璃(2027)に出会う。一行瑠璃(2027)も我が強く本が好き。二人は図書委員として同じ時を過ごすことで仲を深めていく。その仲を深めるきっかけというか、恋人関係までスムーズにことを運ぶように協力してくれるのがカタガキナオミ(2037)である。
2

カタガキナオミ(2037)が2027年にやってきた目的は、3ヶ月後に落雷によって命を落とすことになる一行瑠璃(2027)を救うため。現実改変を検知したALLTALEの自動修正プログラムが作動する中、見事堅書直実(2027)は一行瑠璃(2027)を救うことができた。しかしその瞬間、カタガキナオミ(2037)の真の目的が顕になる。その目的とは、一行瑠璃(2027)の記憶を成熟させ、脳死状態の一行瑠璃(2037)の精神と同調させること。そしてその記憶を持ち帰ることで脳死状態の彼女を救うことだった。

・2037年
3

見事計画を遂行したカタガキナオミ(2037)は自分の世界へ返り、脳死から回復した一行瑠璃(2037)と再会を果たす。しかし、その感動も束の間。現実と信じ込んでいたカタガキナオミ(2037)の世界もまたALLTALEで作り出された仮想世界だった。一行瑠璃(2027・2037)の情報が重複していることを察知し自動修正プログラムが動き出した。そして堅書直実(2027)は謎の力で2037年へ転送されたことで、カタガキナオミ(2037)との重複が起きてしまった。一行瑠璃(2027・2037)、堅書直実(2027)それぞれが標的となり、カタガキナオミ(2037)を巻き込んだ戦いが行われる。

・2037年現実、そして・・・

4

堅書直実(2027)が2027年の世界で特訓した能力を使って奮闘するも膨れ上がる修復力におされていく。力及ばず押し切られる形となってしまったが、なんとカタガキナオミ(2037)が身を挺して守ったのだ。この行動がカタガキナオミ(2037)の記憶を成熟させることとなり、脳死状態にあった堅書直実(現実)と同調・転写が成功できたのだ。一方、一行瑠璃(2027)、堅書直実(2027)は、自動修正プログラムが切れた世界で新たなスタートを切る事となる。現実も、現実のために利用された仮想世界もハッピーエンドで終幕。

疑問と考察
疑問だらけなんですが、その中でも3つに絞って考えていきたい。
1、一行瑠璃(2027・2037)はなぜカタガキナオミ(2037)を違うと言ったのか
鍵を握るのはしおりと図書カード。カタガキナオミ(2037)は二人の思い出の品のようにしおりを取り出し差し出すが、それを受け取った一行瑠璃(2027・2037)は一瞬困った顔をします。

37しおり
それもそのはず。今の一行瑠璃には2027年の改変された世界の記憶が備わっているので、一行瑠璃(2027)がそのしおりに対する記憶を持っている必要がある。しかし、一行瑠璃(2027)は花火大会には行っておらず”連れてこられた”だけなので、しおりは二人の思い出にあたらないのだった。(ちなみにこのしおりは堅書直実(2027)がバスで拾って好感度を上げたしおり)。もし思い出の品とするなら”あの本”の図書カードを選択すべきだったが、カタガキナオミ(2037)は”あの本”の図書カードの思い出を知らない。

27図書カード

27しおり2

だから「ちがう」と言われたのだろうと思う。

2、カラス
27カラス

カラス37
2027年と2037年に登場するカラスが微妙に違う。2027年はカタガキナオミ(2037)が生み出したカラス、2037年は一行瑠璃(現実)が生み出したカラスという違いだと思っているが、ではなぜ2037年のカラスは「あなたの三ヶ月を見つめ続けたただのカラス」と言ったのだろうか。2027年のカラスが言うならまだわかるんだが・・・と最初は思った。でも「見つめ続けた」だからこれでいいのだ。一行瑠璃(現実)は現実世界から仮想世界を観測し続けていて、最終局面で干渉することにした。2027年のカラスは見ていただけじゃなくて協力して一緒に過ごした。これは2027年と2037年のカラスの違いをぼやかすためのミスリードを誘うセリフと考えることにした。

3、現実の堅書直実はいつ脳死になったのか
これが最大の謎。いくつかパターンを考えたがしっくりこない。ボツにしたパターンはこれ。

    ○2027年に脳死したのは一行瑠璃じゃなくて堅書直実のパターン

 これだとカタガキナオミ(2037)が生活した2027年から2037年の間は事実改変が起き続けていることになる。自動修正プログラムが野放しにしている理由が見当たらないのでボツ。

    ○2027年に脳死したのは一行瑠璃と堅書直実のパターン

 これだと一行瑠璃(現実)が先に目覚めている理由が謎で「やってやりました」という言葉にも繋がらない。

    ○2027年2037年関係ないところで脳死したパターン

 一番ありえるけどドラマが無いし、何よりも夢オチみたいで嫌だ。「あなたは大切な人のために動いた。」ことで同調できた点ともどうつながるのか不明だし。

というわけで、私が採択したのは「自分をALLTALEの世界へ転送したことで脳死になった」です。
2027年一行瑠璃が花火大会で脳死したのは現実に起こった。その後、瑠璃を救うべく2037年まで努力を続けた堅書直実。度重なる失敗で半身不随となったのも現実に起こった。そして見事自分自身の量子データ化に成功し一行瑠璃を救う。ここまでは現実に起きたこと。しかし量子データとして成長しすぎてしまった堅書直実は、肉体との同調が崩れてしまい体に戻れなくなってしまったので脳死となった。という考えです。そして脳死から回復した一行瑠璃もまた、堅書直実のために努力をして研究員の一員となり取り戻すことに成功した。
でもこれだと堅書直実が回復したときに千古教授がいないことが気になるんだよね~。どうなんでしょう。
37現実

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