公式
夏への扉を見た感想は、ラブストーリーとSFとミステリーの良いとこ全部入りで、アニメ的な感じもあって飽きが来ず「え?まだ序盤?」と思えるほど濃厚な時間を過ごせる作品だと感じました。とりわけ清原果耶さんの演技がとても印象的で、山崎賢人さんとの距離感というか空気感は子供っぽさと大人びた雰囲気の両方を漂わせていて、あの役は彼女にしかできなのではないかと思えるほどの収まりでした。
この映画、主人公を誰が演じるかで結構印象が変わるシナリオだと思いますね。エンジニアとしてきっちりかっちりした人が演じてもまた違ったメッセージを持ちそう。今回は山崎賢人さんが演じておりますが、かなり若々しくて子供っぽいとも言える彼の雰囲気は、見る者を優しいストーリーに没入させてくれます。これは彼にしか出せない味だ。そして今回はこの感じこそが感動を生んでいるので山崎賢人さん以外で想像できない体になってしまった。
本編についてですが、私は予告のイメージと結構違うなと感じながら見ていました。でも不思議なことにもう一度予告を見てみると、そんなに違いは有りませんでした。これって結構面白い現象で、これだけでも十分楽しめた証拠なんだと思いました。未来や過去といった時間を超えたシナリオって、結構適当な設定(考察の余剰)が多いものですが、この映画は「ん?」となってもちゃんと説明されていたり、自分なりにこういうことかという補完が簡単にできるのでみやすさも抜群ですね。全体的に楽しく見ることができてとても満足でした。ぜひ劇場でご覧いただければと思います。



以下ネタバレ有



感想(ネタバレ有)から
夏菜さん、怖くないですか?笑 悪女役なので褒め言葉のつもりで言っています!ご本人も悪役のほうがやりやすいと言っているのも納得で、コールドスリープに漬け込む瞬間のあの目、すっごく引き込まれました。あんなに冷たい目ができるのは恐ろしいですが、これからの悪役が楽しみな演技でした。ところで30年後の役ってご本人なんですかね?見る影が無いのはその通りなんですが、けっこう若いなって思いながら見てました。年齢はわかりませんが2025年て50~60歳くらいなんじゃないです?にしては目とかキレイでしたよね。
それから原田泰造さん。予告で見た限りはどう考えても悪役でしょあの人(笑)私はてっきり藤木直人さんによって目覚めさせられた最終兵器・山崎賢人が大ボスである原田泰造を倒す物語だと思っていましたよ。全然違いましたね!珍しく予告を見ておいた方が楽しめる映画だなって思いました。
爆発で死んだ姿を見ていないフラグの時点で、清原果耶さんは亡くなっていないとは思っていましたがまさか序盤のロボット制御の本を読む伏線からエンジニアになるところまで繋がって行くとは思いませんでした。1995年から、決められた未来のために必至に勉強しなくてはならないという未来を背負わされるのは少しツラいなとも思いましたが、それだからこそ彼女の愛を表現することができている設定でもあるのだなと思いました。もし自分だったらプレッシャーとか決まった未来なんてクソ喰らえとか思って潰れちゃいそうだなって思いながら見ていました。
「黒幕は俺」という部分は、なんとなく読めてしまいましたが、それでも順々にピースがハマっていく感じは見ていて面白かったです。序盤も序盤、ニュースに顔を出すことが「お姉さまウケ」だけじゃなくてちゃんとループに影響があるっていうフラグ回収感もたまりません。
こんな感じで、ほんと楽しめた人多いんじゃ無いでしょうか。
おまけというか、「カメラを止めるな」がちょいちょい頭横切った人おります?濱津隆之さんが出ているってのもそうですが、2025年の田口トモロヲさんのラボはカメ止めの撮影現場ですよね。ついついチラついてしまいましたw

考察
やはりループする話はこんがらがる設定があるので考察のしがいがありますね。とはいえ、この映画は作中でも概念について触れているので「勝手に想像しといて」みたいな投げっぱなし設定じゃないのが好印象。割りかしスッキリしているけど整理はしておきたいと思います。

まず世界観について。
/1995年
自立型AIが搭載されるロボットが開発されたり、瞬間転移装置もできている。コールドスリープも商業レベルで普及している。なのにカセットプレイヤーや携帯電話はアナログといった現実的な要素を残している。

/2025年
ヒューマノイドが働き支える世界。なのに建物や図書館には高度なテクノロジーを感じない現実っぽい作り。

過去も未来も本作に関係無いテクノロジー以外は突出した現実離れをしていないというのが作品の特徴。これが情報過多にならず、スッキリと作品に没入できるポイントだと私は思う。30年経ってあれだけ高性能なヒューマノイドが普及しているにも関わらず、夏菜が住むオンボロでテクノロジーを感じさせないアパートが残っているように、清原果耶さん演じる璃子お気に入りの泣き場所も一切変わらず残っているのだ。この辺り、テクノロジーの進歩と世界観が合っていないととることもできるが、空飛ぶ車や空中都市が描かれても本作には関係無いことなので出さなくて正解だと思う。

時間の概念について。
作品では時間の概念として「平行世界は存在しない」と言っている。
作中ではこのようにループと表した

つまりパラレルワールドとかは無くて違う未来も存在せず、過去も未来も繋がって影響しているということ。この辺り冒頭のロバート・A・ハインラインの引用言葉に全てが詰まっていると思うんですよね。(過去も不安定みたいなやつ。メモって無くてちゃんと覚えてない。)
でも、私これを聞いたときに「では1995年に2025年の山崎賢人が同時に存在するってことはあり得ないのでは?」と思ってしまったんですよね。だって過去と未来が同時に存在していないと、2人も自分がいるっておかしいじゃないですか。でもこれには勘違いが合ってパラレルワールドは無いと言ったが、同じルートを辿る別の世界が無いとは言ってないんですよね。

IFの世界線は存在しないってのを別の世界は存在しないって勘違いしたのでちょっと迷っちゃいました。この点を踏まえて整理していくと、
こうなる。山崎Bが映画で描かれた自分。山崎Aは映画の後半に藤木直人と山崎Bに陰ながら干渉された自分。もちろん山崎Bは山崎Cに、山崎CはDに・・・と繋がっていくのだ。こうやって未来が紡がれているんですね。何度繰り替えしても、必死に何度も璃子を救うべく奮闘する。この純愛の描き方はとてもクールで態度で示す愛は、二人の関係性から筋の通った描き方です。

設定は飲み込みやすくてわかりやすい。ただ、このループは2つほど疑問は残る。
1つ目はもっと過去の修正をすれば良くない?
2つ目は一番最初の山崎Xはどうやって生まれた?
ということです。
だってもっと過去に戻って株式譲渡を止めたらいいじゃないですか。でもきっと、干渉が直接的すぎるとか、それこそ”不安定な改変”が起こってしまいどうなるかわからないという問題もあるんでしょう。そう思うようにした。
2つ目は、山崎Xは山崎XXがいないとタイムマシンが出来上がっていないので過去には戻れないじゃないですか。これも矛盾です。でもこの辺り、鶏が先か卵が先かの問題と似てるし、宇宙だってビッグバンでいきなり出来て広がり続けるし、現実でも説明つかないループがあるので許容範囲内の疑問です。
このように非常に理解しやすいSFなのですごく楽しかった。皆さんはどんな考察をしているのか楽しみです。

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